五日坊主随筆、一日目

 

 

 

 

日記なんてものは、生活に余裕があり、しかしその生活には自信がない、定時制労働者の貴族だけが出来るお遊びだ。

 

……と、思っていたのですが、流行り病に罹って体がひっくり返るくらい暇になってしまったことに加え

そういえば最近

仕事となればベラベラベラベラと、書き散らしているけど

自分についての文章はあまり書いていない、と思って

 

 

絶対に続かないが

なにか、書いてみたくなったので、暇つぶしにやってみることにした。

 

 

今やぼくは、定時制労働者ですらない、自宅隔離制サボり者であることだし。

暇を持て余したブラック企業者の遊び。

 

 

……と言いつつ、自分の中に、あんまり書くことが無くて、驚いている。

 

普段、溢れんばかりの労働の波に押しつぶされてしまって、自分がなくなってしまったのであろうか?

しかし残念ながら、ぼくの心身は健康だ。いや、コロナだけど。

 

社会的バッシングを受けるべき労働時間を経ていたとしても

そこで倒れない体というのがぼくの現実であるらしく。

 

それなりにやり甲斐もあるので、やれてしまっている。

不幸なことだ。

 

そういえば、上司から先程メールのCcで

「幸い、〇〇(ぼく)が自宅サボり中という事もあり(違)」

という物言いをされていた。

 

ぼくは別にいいのだが

こういう冗談に正義の怒りを発する若者はいるだろうなぁ……

と遠い目になった。

 

 

「別にいい」と張り合ったのは少々ウソをついた。

少しは褒めて欲しいです。発熱1日目ですらメール対応していたのに。

 

まぁ、ぼくは結局彼をリスペクトしてしまっているので

そんなに毒づけないのが本心である。

 

 

この「褒めて欲しい」という甘え。

結構、ブラック労働問題(?)に必要な一手なのでは? と勝手に思う。

 

いや、ぼくも働きたいわけでは無論ない。

しかし、労働問題に対するネット社会の苛烈な反応に

現代人のアレルギー反応を見てしまったのも確かだ。

 

当事者の側からしたら

「働けば働くほど後ろ指をさされる」という感情にしかならないし

そういう正しい発言は逆にプレッシャーである。

 

先日

我々の労働環境を管理する側に回ってしまった

ゴリゴリのマッチョイムズムの先輩(40代男性)と飲んだ際

このような主旨のことを言っていた。

 

「自分たちは、今のきみたちよりずーーーーっととんでもない時間働いてきて

その分のお金は貰っていないのに、急に君達だけに渡すっていうのも……」

などと申しており。

 

誤解を防ぐようだが、こんなに嫌味な言い方はしていない。

まぁ、酔っぱらったお父ちゃんという感じで、ネガティブな印象はお取下げを。

 

 

ここで、どうだろう?

このマッチョなおじさんの意見を

「いや、そんな過去世代の禍根をこちらに残さないでくれる? それはそれ、これはこれ。時代は変わっているの」

と一蹴出来るほど、ぼくは頭だけで物事を考えられない。

 

だって

たしかにこういうジジイがたの方が

これまで(文字通り)何千時間も多く働いているのに

「時代が変わった」の一言で、ぼくら若造の方が多くカネを享受できちゃうのは

単純にムカつくもんね。

 

 

「大人なのだから、そういう些事は忘れて大義のために動きなさい」

 

 

はい、すみません。

仰る通りでございます。

 

しかし、「自分がそうだったのに」という呪いは、そう易々とは捨てられない。

 

時代が変わっても、そこに居る人が変わっていないのだ。

時代の強制力というものはあるにせよ、それは穏やかなもので、局所的な発揮はされない。

 

しかしそういった具体を無視して

「時代の変化」をイデオロギーとして、言葉だけで進むのなら

それは、そこに未だ居る人々を置き去りにするだけだと思う。

 

 

じゃあどうすればいいのか?

このクソみたいな環境で。

 

この現状は確かに変なので、なんとかしなくてはならないと思うが

しかし、外様の皆様たちに

「貴様たちの環境はクソなのでなんとかしなさい」と言われるのは腹が立つ。

 

あなたたちに楽しんでほしくて、日夜働いているのに。

 

だから、思います。

褒めていただけますと幸いです。

 

 

それで救われる人もいるでしょう。

そうして救われた後に、あとはコッチでなんとかしますから。

 

 

まぁ、言うてぼくはそんなに働いていないし

残業代が無いと稼ぎが少なすぎるので

いつも月の制限時間のギリギリまで働きたがってしまうんですけどね。

 

 

 

 

……以上。

意外と書けてしまった。

 

 

自宅サボりが解除されて

また忙殺の日々が再来したら、絶対にこの随筆は続かないと思うので

 

初めから自宅待機10日間戦争の、残りの五日間坊主と決め込みます。

 

 

ということで、一日目。

サラバーイ。